インターン相談室に井崎さんが2か月ぶりにやってきました。
あら、久しぶりね。今日はインターン休みなの?
はい!休みです!おかげさまで何とか面接に同席させてもらえるようになったので、今日はお礼を言いに来ました。
よかったわ!あとは一人で面接を任せてもらえたら満点ね。ちょっと難しいかもしれないけど…。
頑張ります!実は社長直々に新しい仕事をもらいまして。どんなことでもいいからインターン生の目から見て改善したほうがいいと思う点を提案して欲しいってことなんです。業務の幅をさらに広げるチャンスなんで、半端な改善じゃなくて社長を驚かせるような提案がしたいんです!
頼もしいわね。いわゆる”改善”はトヨタ自動車をはじめとした日本のメーカーが元祖なの。”KAIZEN”って言葉は欧米でもそのまま使われているわ。メーカーに限らず日本のサラリーマンの最大の武器ね。私も少しは勉強しているから役に立てるかも
- ネタを見つける
- ツールを使って掘り下げる
- 提案内容をまとめる
改善って具体的にどういうことか
と張り切ってはいるんですけど、改善っていったいどこから手を付けていいものか分からなくて困ってるんです。
なるほどね。改善を一言で言うと、何かを変えてよりよくすることなの。業務のクオリティを上げるか、コストを下げるかのどちらか、もしくはその両方を達成できるようにすればいいのよ
なるほど!そうなんですね!
”何かを削ることでコストを下げる”アイデア、”何かを付け足すことでクオリティを上げるアイデア”が基本ね。さらに標準化という考え方を合わせるとネタが見つかるかもね。標準化というのは、同じ業務を誰がやっても同じレベルを保てる状態にすると理解してね。業務のクオリティのばらつきを抑えて一定にする手段と考えればいいわ。マニュアル化することなんかが典型的な標準化の手法ね
- 改善とはよりよくすること
- クオリティを上げる、コストを下げる、クオリティを保つのどれか
- 作業を削る改善と質を高める改善、そして標準化を押さえておこう
- 標準化はタイミングや担当者個人のばらつきをなくして業務のクオリティを一定にすること
改善提案までの段階
改善提案までにはいくつか段階があるわ。確かに”これ”が問題!とかピンポイントの気づきも大切だけど、一つの問題は実は全体とつながっていたりするから、まずは仕事全体を見渡して一つずつ洗い出していくのがおすすめね。
なるほど。段階を踏むことが大切なんですね!
その通りよ。ネタを探す、ネタを掘り下げる、改善提案を作る。この3つに分けて説明していくわね
改善提案までの手順
- できるだけ全体を理解して改善のタネを見つける
- 改善のタネを掘り下げて改善策を考える
- 提案内容をまとめる
改善のタネを探す
さていよいよ改善提案の第一段階よ。ここでは思い付きでいいから、たくさん改善のタネを探していくことが重要よ。タネが改善提案まで育つのはまあ10集めて1つくらいかしら。あくまでも思い付き段階だから、あまり関係者には教えないほうがいいわ。掘り下げる前に邪魔されるかもしれないからね
なるほど。ちなみにどのへんがタネになるんですか?社長に言われてから考えたんですけど、あまりアイデアが思い浮かばなくて…。
3か月間インターンとして頑張ってきたあなたが持っているタネの一つは、”簡単なのに手間がかかる業務”ね。前話した業務の広げ方で簡単なのに手間がかかる業務を任せてもらってるでしょう。それこそが改善の本命よ!
なるほど!あの時佐藤さんに教えてもらってから、簡単で手間がかかる仕事いっぱい集めてます!何か無駄なことじゃないかなぁってこともけっこうあるんですよね。他はないですか?
もう一つは、”新人が理解しにくい業務”よ。これは標準化に関わってくるわね。インターン生をたくさん採用して活用している企業では、同じ業務でも個々のインターン生によってやり方やクオリティにばらつきがある場合が多くて悩んでいる場合が多いわ。ここも狙い目ね
なるほど。そうなんですね!何とかなる気がしてきました!
この段階ではタネをとにかくたくさん集めることが重要よ。”こんなこと…”とか思わないで、少しでも引っかかることがあったらどんどん書き出してみてね。その中から提案まで育つタネを次の段階で見極めて育てるの
インターン生だからこそ思いつく改善のタネは次の二つ
- 簡単なのに手間がかかる仕事(業務を削る改善)
- 新人が理解しにくい業務(標準化)
物になるかどうかは気にせず、上記2つをどんどん書き出してみる
出口=業務の目的を意識してネタを掘り下げる
いよいよ改善の第二段階ね。まず大切なことは出口をちゃんと見ること!その業務の出口はどこなのかをまず理解しないと改善は始まらないわ
そ、そうなんですね。業務の出口ってどういうことですか?
業務の出口とは目的のこと。その業務はいったい何のためにやっていてどの業務につながっていて、最終的にどこに向かっているのかってことね。
なるほど!何のためにやっているかを意識することが大切だってことですか?
その通り!改善提案をするってことは、例えば”この業務むだだから削りましょう”とか、”この業務はもっといろいろやるべきです”とか提案するってことよね?
そうですね。あっ…何のためにその業務をやっているか、どこにつながっているかが分からなければそんな提案できないってことですか?
その通り!井崎さんは会ったころから優秀だったけど、インターンでいろいろ考えてどんどん優秀になっていってるわね。
これは改善と関係ないけど、何か教えてくれる人には、単に”なるほどですね!”を言わせたいだけのタイプもいるからそういう人に教えてもらうときの答え先取りには気を付けて。話が早いし相手の理解も測れるから私は先取りしてくれるほうがいいわ
ありがとうございます。佐藤さんはそういう細かいことも教えてくれるから勉強になります。また先取りになっちゃうかもしれませんけど、そうなると業務の流れを深く把握することが重要ってことですよね。業務の流れを効率よく把握する方法ってあるんですか?
もちろんあるわよ!直接的に役に立つのはプロセス図ね。業務の始まりから出口までを見えるように図で書いてみるの。各段階で誰が何をどれくらいのコスト(作業時間等)をかけてやっているかを忘れずに書いてね。図解は本を1~2冊くらい買って簡単に勉強するといいわ。あとでおすすめの本を紹介するわね
ありがとうございます!
プロセス図を書いてみたら自分が意外とその業務を理解していなかったことが分かるわ。メモ術と同じようにプロセス図でも作ったら先輩や上司に確認してもらうことが大切よ。疑問を忘れないようにペンの色を変えてメモしておくのも忘れずにね
なるほど!今日休みだからできる範囲でやってみます!
特に入り口と出口を意識してやるとよりいいわよ。例えば人材採用なら入り口は、採用計画~広告出稿~求職者からのメールとかね。出口はいい人材を採用して教育、一人前にするってところかしら。各段階で誰が何をどれくらいのコスト(時間)をかけてやっているかが重要ポイントよ
なるほど!目的意識まで出口に含めるのがポイントですね!
その通りよ!出口=目的を把握して、その目的を達成するために無駄だとか、こういった作業を合わせなければ!とかね。とにかく出口=目的を意識して改善を考えてみて。そうすればプロセスの中で、目的を達成するために必要な業務(増やすべき業務)と不要な業務(目的達成に必要ないから削るべき業務)が見えてくるわ。プロセス図で見える化すると”ここダブルチェック必要なとこじゃないのに重複してる”とかいろいろ見えてくるわよ
分かりました!出口を意識していきます!
出口=目的を意識しない改善はない
入り口と出口を意識したプロセス図を作って、改善のタネを掘り下げていく
プロセス図で”見える化”することで重複している業務などが見えてくる
インターン生の改善スキルまとめ
改善は業務の目的、流れの理解が重要
出口=目的を意識しない改善はない
- 改善は下記に分けると考えやすい
- クオリティを上げる(業務を増やす)
- コストを下げる(業務を削る)
- クオリティを保つ(標準化する)
- 改善の流れ
- 全体の流れを把握して改善のタネを見つける
- 改善のタネを掘り下げて改善策を考える
- 提案内容をまとめる
- 実際に改善する
- インターン生だからこそ思いつく改善のタネは2つ
- 簡単なのに手間がかかる業務(業務を削る改善)
- 新人が理解しにくい業務(標準化のヒント)
- プロセス図で業務のつながりを見える化して掘り下げる
今日はここまで。次は改善を提案する方法と改善を実行する方法についてお話するわ。提案を作るだけ、思いつくだけならけっこうみんなできるから、あまり差はつかないの。改善をうまく実行するスキルは一生ものになると思うわよ!